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心の病であるギャンブル依存症・・・
パチンコ業界が果たす役割とは?
求められる体系的
「依存症」への道筋

(平成15年12月8日 東京都文京区後楽園ホテル6階サロン「ルネ」にて)

依存症の啓蒙、回復、そして理解

加藤
啓蒙についてもう一つ、こういうのは無理なんでしょうか。ひとが何でギャンブル依存症になるのかやさしく解説して、分厚い本じゃなくて非常に読みやすい本を出版して、パンフレットと同じように置いておくとかね。
米田
タバコに例えるのは悪いですけど、パチンコ店でも「あなたは大丈夫ですか」ということをお客さんに対して啓蒙していく。そういうこともいいですね。
中村
それは啓蒙という意味ですよね。
米田
あくまでも啓蒙です。ただ中村さんが言っている、実際の依存症の人にどう手を差し伸べられるのかという問題は残したままですが、今の話しを聞くと年間で2000万円以上の費用が掛かってそれでも足らないくらい一生懸命にやっている。これは将来的に、金銭的な事も含めてパーラーだけでなく業界でともに両輪に役目を果たしてきた遊技機メーカーにも理解してもらえないかと研究会でも話がでているところです。
加藤
先ほど触れましたが、今インターネットがこれだけ普及してきてますからね、この程度だったらいいけど、この程度だったらちょっと危険だよと。ここになるともうそろそろマイルドな依存症だ。ここまでいったらシビアである、という基準をつくって、年間2000万円かかるのであれば2000万円でサーバーを維持して100万人単位くらいのそういう人たちが登録しても、運営していかれるプログラムは作れると思います。実はこのことを都遊連に今度提言しようと考えています。
中村
ただ、それはあくまで啓蒙、予防の一環に位置付けられる対策のあり方ですよね。何より重要なのは治療なんです。インターネットによる啓蒙活動そのものには大きな意義があると思いますが、そのことが治療に直結するとは思えません。依存症の回復は人間と人間のふれ合いが不可欠です。インターネットで治療ができるという簡単なものではありません。
加藤
まさに中村さんがおっしゃった通りだと重います。否認を解くということはものすごく難しいことだと思うんですね。だから、それは精神科医なり、アメリカなんかでもそういう施設があって、そこに入って一生懸命やってるわけですね。インターネットと言ったのは、予防と啓蒙の段階で何らかの利用ができないかということです。現在、ギャンブル依存症の専門家やアルコール依存症治療の専門家とインターネットの専門家とが会って啓蒙や治療のことをプログラムとしてできないかと話し合っています。これがもしできればギャンブル依存症のことだけではなくて広い意味での啓蒙に役立って行くだろうと思っています。
米田
それとやはり欧米諸国と日本を比べた場合に、この依存症の問題だけではなく社会福祉の取り組み方が全然違いますよ。中村さんが言われたように最終的にはそういう施設を国が許可を出している中央競馬会なり、そういうようなところも巻き込んだ上での大きなうねりとなっていかないと業界だけではそこまでというのはなかなか難しいんじゃないかなと痛切に感じています。
本誌
確かに難しいですよね。仮にそういった提言を公の機関に提案するといった場合でも、逆に拒否反応を示されるかもしれません。
中村
それを広げていくのはNPO、民間だと思います。行政やパチンコ業界は外からサポートしてもらいたいとは考えていますが、パチンコ業界に依存する考え方では上手くはいかないと思います。さっきからアメリカのケースを引き合いに出していますが、その部分に関してはそんなに積極的に国として関与しているわけではありません。
力武
国は最後にしょうがなく動き出すんじゃないですか。アメリカでもハーラーズ・エンターテイメントなどのカジノ業界が積極的に依存症問題に関わっているというのはやっぱり産業としての責任からなんです。
加藤
しかし、そういう重要な施設をたくさん作るといってもおそらく分かっているけど作れない、というのが業界の実情としてあると思うのですね。また一方では社会全体の認識として、依存症というのは非常に特別なものというふうに日本では認識されている。欧米の場合はそれほど特殊なものとして依存症というのを考えていないから、いろいろな依存症という名前があるわけですけれど、日本は基本的に心の問題というのをちょっと軽視し過ぎていると思うんです。例えばアメリカの空軍というのは非常に心理的なケアそしてまして、戦闘などのストレスから自殺者が増えてくると必ずカウンセラーを雇ってケアをする。そうしたとたんに空軍の自殺率が下がっているんですね。ところが日本の場合はそうした認識がまだまだ低いので、心の問題に対するケア、関心というものが高まっていないのが現状です。

心の問題に対する理解が浸透していない土壌の中でギャンブル依存症の問題にしても、どう取り扱っていいか非常に難しい部分があるのは否定できません。日本の場合はギャンブル依存症だけではなくて、依存症という病気というふうに認識することが非常に遅れています。例えば、うつ病なんかもそうですけれど、うつ病の場合、確かにうつ病という名前が付いてますけど、現実には怠け者とかね、頑張りが足らないとか、要するにうつ病になってる人に「お前そんなに甘ったれてて、これから人生、生きていけるのか」とかね。そういう考えで対処しますよね。

やっぱりうつ病にしろ、心に関与してる病気に対する認識がまだまだ足りない。心の問題を病気と認めることに対する抵抗感があるような気がします。
力武
だからこそ「ワンデーポート」のような施設をたくさん作っていくべきだと思います。やはりGAのプログラムを使ったグループミーティングというのが一番有効なんです。日本はギャンブル依存症への社会の理解がないですから、それまでは自分の気持ちをわかってくれる仲間がいないわけで、周りから見れば何回も借金を繰り返すどうしようもない意志の弱い人間だという見方をされている。ところが、グループミーティングの中で自分の気持ちを分かってくれる仲間と会うことによって回復が始まっていくことを考えると、グループミーティングが一番だと思います。私は施設を作ることはそんなに難しいこととは思ってなくて、相談窓口を作るにしても、コーディネートしてあげればいいと思うんです。たくさんの依存症の方が出てきたら、じゃあここで話し合いましょうとコーディネートしていけば、その中から中村さんのようなリーダー的存在の方が自然発生的に出てくると思います。まず、そこに向けて取り組むことで自ずと道は開けてくると思っています。
米田
とにかくしなければならない課題がかなりたくさんあると思います。どんなことに取り組むにしても目標自体は大きい方がいいと。そういう中で、実際には依存症の人を増やさない、注意を促すことがかなり重要な一方、回復施策を増やす方向性も業界として考えなければならない。NPOを立ち上げて、理解していただくことも非常に意味があると思います。国に頼ってもなかなか難しいのが現状ですからね。実際にはもっと国がやらなければいけない治療、例えばエイズ問題なんかもありますよね。これも実際には偏見があってまだまだそこまで到達していない。取り組むべき問題はいっぱいあるんだけどもこれだけの問題になっていながら、という感があるわけです。ですから、前に言ったように、欧米の国とはかなり違うという、そこら辺の認識レベルといいますか、これがやっぱり壁になるなという感があります。
加藤
パチンコ業界というのは産業としてはすごい規模ですよね。だからこの規模の業界が、従業員の方々みんなが元気になって活性化して、しかもそこからマイナスの部分が出てこなくするというのはすごく重要なことですよね。
中村
ギャンブル依存症は糖尿病やガンと同じ病気です。その人の性格的な問題ではない。治療が必要な病気ということですよね。単なる病気だってさげずむんじゃなくて、暖かい援助がないと回復できない病気なんです。言葉で「あなたは子供を放ったらかして何やってるの」と言っても意味はない。そういう病気だということを多くの人に知ってもらいたい。それを理解してもらうことはすごく難しいと思います。力武さんが「ワンデーポート」のフォーラムにスタッフを連れて来られたように、フォーラムに参加してもらわないとどういう病気なのかが分からないと思います。さっきも従業員の研修の話がでましたが、そういうものに是非役立ててもらいたいと思います。
力武
依存症問題への理解を深めるのにフォーラムの参加は非常に有効だと思います。
本誌
本日は長時間亘り本当にありがとうございました。
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「情熱リーグCP篇」