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心の病であるギャンブル依存症・・・
パチンコ業界が果たす役割とは?
求められる体系的
「依存症」への道筋

(平成15年12月8日 東京都文京区後楽園ホテル6階サロン「ルネ」にて)

原因追求より対策実施が急務

本誌
中村さんは今後、この問題にどう取り組むべきかだとお考えですか?
中村
薬物などは分かりやすいんですけれども、厚生省がやっているのは予防なんです。依存症になった人へのケアは全くない。薬物依存症回復施設に私たちがモデルにしてる「ダルク」という施設があって、そこにはやっと地方自治体の補助金が出るようになっていますが、社会的な理解はまだまだです。ギャンブル依存症にならないための活動がすごく大切になってくるとは思いますが、依存症になった人たちのケアにも目を向けてほしいと思います。

ところでこの問題で一番難しいのは依存症が否認の病気だということです。「私は依存症です」という人はまずいません。まだ大丈夫だとみんなが言う。そこで、アメリカなんかでひとつの指針となっているのがGAの「20の質問」というチェック項目です。先日行ったカジノではGAの「20の質問」がパンフレットに記されていて、7つ以上当てはまったらあなたは病気ですからこのヘルプライン(日本でいえばフリーダイヤル)、そこに連絡してくださいときちんと明記されているんです。
加藤
かなり否認するものですか?自分は依存症じゃないって。
中村
いろんな依存症がありますけど、ギャンブル依存症というのはとくに否認が強いと思います。
加藤
すると本人に会うと俺はギャンブル依存症ではないと?
中村
ない、と言い切ると思います。私もそうでした。
加藤
そうなると大変むずかしいですね。ノイローゼについての話をすると一番聞いてもらわなければならない人が一番聞かないんですよ。ところが、聞く必要のない人が「いやぁそれは僕に当てはまっているんだけど」と言う。ただ否認する場合でも心の底には分かっていると思うわけです。だからことさらノイローゼの話をした時に拒否する。だから否認する人というのは割と、どこかでそういうことを心の底では気付いているんだろうと思うんですよね。

ところがそれを公には絶対認めたくないということなんでしょうね。否認が強ければ強いほど病は深刻だと思っていいと思います。否認が強いということで、次の話はあまり役に立たないかもしれませんが、アメリカで「セルフ。エクスクルージョン」という自分で自分を排除するという制度があって、例えば依存症の人がもうギャンブルを止めようと思った時にそのことをカジノに対して示すらしいんです。ところがしばらくするとまたやりたくなります。今度行こうとすると自分でもう来ないと言ったんだからあなたはもう入れませんよとなる。だけど否認というのを聞くとやはりこれは無理なのかなぁ…。
中村
よくサラ金で借りさせないためにブラックリストに登録して親が借りさせないけど、本人はその時はやらないと思ってるけどやりたくなったらヤミ金に手を出すのと一緒だと思いますけど。
加藤
本人自身が顔写真撮られて自分で入らないと言ったんだからと拒否するという場合でも。
中村
ギャンブル場はいくらでもありますしね。
加藤
パーラーもたくさんあるから、だから写真を貼っても無理ということか…。
中村
カジノだったら軒数が少ないんでね、そういうのは一時的にですが効果あるかもしれませんね。軒数が少ないんでそこに入らなかったら今日は行かない、ということがあるかもしれない。しかし、理解してほしいのは、依存症は病気ということ、誰の責任でもないということなんです。依存症本人がそう認識することが回復に向かう第一歩だと思います。

また、依存症になる原因を持ってる人がいるというのは事実だと思いますが、ただ、逃避があるから依存症になるとは業界側が言うべきことではないと思います。そういう考えた方ではこれまでと同じ「自己責任」の問題としてしか見ることができなくなると思います。誰がいけないとか、何がいけないとか原因を追求してもあまり意味はないことです。

私たちは業界を批判はしていません。ただ、その人たちをどうケアするかが一番で、さっき言ったようにギャンブル性、射倖性がない台だったらそこに行き着かないですよね。そこまで行き着く要素が今のパチンコ機なりパチスロ機にはあるわけですから、そこでどうにもならなくなった人を助けていくという意識を持っていただけたらと思います。
本誌
米田副座長、今の中村さんのご意見を伺って、どういったお考えをお持ちでしょうか?
米田
あくまでも中村さんがいいました依存症患者を救っていこうと、何かお手伝いができることはないかというような立場に立てば当然そうなります。「何でなったの?」「原因は何?」と聞けば聞くほど責めていることになるかも分かりませんね。われわれはそこまで本当に依存症になった方の苦しみというのを分かってませんから、今の話を聞いてなるほどなと思います。いかにしてわれわれ業界なり、パーラーがそういうような方のお手伝いができるかというところを模索する必要があるんでしょう。

ただ、ギャンブル性が増した機械が増えてくれれば依存症を出しやすいという理屈にはなるのでしょうが、業界の側に立った場合これを言うとアレルギーを示すところも実際にあると思います。というのは経営者はそれだけの設備投資をして利益を追求しています。今の世の中、特に不景気になっていますから、この事は分かっていてもやはり利益を追求をせざるを得ない。また、それなくして営業をした場合は倒産というようなことになります。そうなれば社員が路頭に迷うという事も、また違った意味での悲劇が生まれるということにもなってくるわけです。
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